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水槽

こんな薄暗い日、サングラスで歩いているのは伊達ではないのです。
今朝、切れの悪い眠りから目覚めてみると片目が見事に腫れていた。いまいましい。目頭の辺りだけ赤く張って、邪悪でセクシーな目になっているのであります。

しぶしぶ眼医者のもとへ。
傘のしずくを払って扉をくぐると、待合室には誰もいない。ここで他の人に会ったことがない。小さな革張りのソファ、木の棚に並べたスリッパ。全ては古びている。そして何もかもが一体成型のようにピタリと並んでいる。蛍光灯が元気なく照らす室内に少しの埃も見えません。

曇りガラスをはめた奥の窓に人影が浮いたり、消えたりして、やがて女性の小さな顔が覗いた。事情を話して保険証を渡し、診察室に入る。ここの電灯も充分点いているはずなのになぜか薄暗く感じる。なにかが、ゆっくり沈殿しつつある。そんな静かな水槽を私が乱してしまったかのような、奇妙な居心地の悪さ。

白髪の医師は青い光を放つ装置で私の目を覗く。それからゆっくりと腫れているまぶたを押す。「ここが痛い?」「痛いです」「…」「痛いです」「…」言葉の間に、カッチ、カッチとどこかで掛け時計が鳴る。先生と奥さんと私。この部屋に今3人もいるのがうそみたいだ。遠くで雨の音がしている。沈黙に耐えられない。

医師の言葉は、いったん流れ出すと小川のようにせわしない。患者はそれを大急ぎで分析して、不明瞭な部分を補完しなければならない。「ああ、アレルギーですか!」埋まった言葉を掘り当てられた時は楽しい。「アレルギーはないです」

医師は針のない注射器で、しゃあしゃあと私の目に液体をかけた。ものもらいとも少し違う何かが発生したという。点眼薬で様子を見てもう一度診察を行うことにしたい。私はそのプランに同意した。

家に帰って、さっそく目薬を差してみる。それから昼餉のパンをかじって、顔をしかめた。苦い。

| いろいろ | 18:14 | comments(0) | trackbacks(0) | TOP↑

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