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聖なるポップカルチャー(2)

クリスチャン漫画の続きでございます。
前回に御紹介しましたSpire Christian Comics は、重厚な人生の伝記を安くて甘すぎる量産品に変えてしまってはいましたが、舌を真っ青に染める駄菓子の魅力があり伝道の姿勢も穏やかだった気がします。しかして次に私が訪れたのは、長年に渡って宗教漫画を配布している米国の大家ジャック・T・チック先生のサイト。楽観的なSpireコミックスの語調に比べると、チック先生の漫画はだいぶ悲観的。そしてSpireコミックスには出てこなかった要素もふんだんにあります。それは…この世の外なる悪魔と地獄です!

■Jack T. Chick : 神の漫画家、論争の元、物笑いの種

Chick Publications

↑上がチック先生の出版社、チックパブリケーションズのサイトであります。ジャック・T・チックは1924年4月13日生まれ。第二次大戦では太平洋戦区で従軍しました。戦後に結婚、その後宣教漫画を描くようになったとか。普通のコミックスの他、俗に"Chick tracts"と呼ばれる小冊子(トラクト)がとても有名で、こうしたトラクトはバス停とか電話ボックスに置かれてるんだそうです。

その内容は主として、「罪」のレクチュアと悔い改めのすすめ。人々がクリスチャンの導きによって罪の何たるかを知り、地に伏して改心するというのが代表的なストーリーのパターンであります。もしくは悔い改めずに死後、地獄に落とされます。地獄は漫画の登場人物たちが悔い改めに至る最大の動機であり、その存在は比喩などではなく、そこへ人間を誘い込むサタンとその一派同様実在のものとして強調されています。チック・トラクトでは天国より地獄、神の愛より神の裁きがフィーチャーされているのです。

そんな恐ろしい世界をのぞいてみたいですか。こちらにあるトラクトの目次から大量にオンライン閲覧可能であります。私は一部しかもざっとしか読んでいませんけど、かなりのハードトリップ。いくつかピックアップしてみますが、ただし!内容は強力に宗教的なものですから、あるいはあなたはだんだんその気になって人生を大きく変えてしまうかもしれません。その点を読む前にご留意下さい。

◇私のお気に入り
The Sissy?(1978)
子分を連れたタフガイ気取りのトラッカー。他のトラックの後ろに貼られた"Jesus saves"のステッカーを見て「イエスなんか意気地なしだろ」とくさす。するとその後ろから「よう、聞こえたぜ?」と自分より遙かにガタイの良い運転手が出てきてびっくり。ガタイ兄貴は彼らを食事に誘い、真のイエス像について語る。話を立ち聞きしていたウエイトレスもまじえ、改心した一同は贖罪の祈りを捧げるのだった。濃いおっさんの絵がグッと来る逸品です。
Dark Dungeons(1984)
RPG(オフラインの)に夢中のデビーはある日、「本当の魔法を学ぶ時が来たようね」とゲームマスターによって本物の魔術団体に連れて行かれる。邪悪な力を手にして浮かれるデビーだったが、ゲーム仲間のマーシーは自分のキャラが死んだことにショックを受け自殺。デビーは我に返り、自分は何をしていたのかと混乱してしまう。しかし友人のマイクが誘ってくれたクリスチャン集会でデビーは悔い改め、宣教師の祈りで悪霊は離れた。「罪」への耽溺→破滅→導き→悔い改めという黄金パターンが見られるわかりやすい作品。
Angels?(1989)
チック先生の考えたショウビズネスの仕組み。クリスチャン・ロックの冴えないバンドがLewis Sifferと名乗る凄腕エージェントと契約して人気ヘビーメタルグループに。悪魔の僕となった彼らは不道徳の限りを尽くし、次々と不幸に見舞われた。しかしメンバーの一人・トムは神に立ち返る。彼を救ったのは、心ある少女がくれたチック・トラクトだった!圧倒的にキュートなコンサートのシーンはもちろん、世界的音楽ビズネスの変なフローチャートなど奇怪な描写にあふれた傑作。

チック漫画には二種類の絵柄が見られます。実はジャック・T・チック名義で漫画を描いている人は二人いるちゅうことですよ。一番下の作品がチック先生本人、上二つは1972年から制作に加わった黒人アーティスト、フレッド・カーターによるもの。チックマニアのサイトに見分け方が書いてありました。カーターの作品は緻密な描線と劇的な表現が素晴らしく、絵柄のやたらな古ささえ魅力の一つになっています。

これがあなたの生涯でした!(1972年/2001年)
日本語版のトラクト。世界100ヵ国以上の言語に翻訳されているという代表作です。この世の幸せを満喫していた男が突然死、天使に連れられて裁きの場へ赴く。そこではあらゆる恥ずかしい場面を含む自分の一生涯が映画のように上演された。神の教えに触れていたにもかかわらず、それを拒絶していた自らの姿。天使が開いた「いのちの書」に自分の名はなかった…。「でも、あなたは次のような生涯を送ることができる!」というレクチャー付き。大胆なアングルの絵がスペクタクルな内容と相まって強烈な印象を残します。

これがあなたの生涯でした!の各国語版(目次)には6種類程度の絵柄があるようで、登場人物と天使の顔はそれぞれ対象地域の人の容貌にあわせて微調整されています。東アジア各国用バージョンは日本語版と同じ劇画調のもので、主人公の顔は二種類。ほかにポリネシアなどで用いる主人公がアロハシャツの版、インド方面用の女性がサリーを着てる版、アフリカ共通の絵柄、白人系地域用とっくりセーター版、これをちょっと改変した開襟シャツ版、と分かれているみたいです。細かい戦略だ!

◇批判とパロディ

このように一部を見れば愉快かつ魅力的なチック・トラクトでありますが、信条を同じくしない身にしてみれば、食えないというかそんなわけねえだろ的感慨を禁じ得ない部分が遥かに大きいです。他の宗教団体に対してもかなり攻撃的で、その非難は困惑させられる内容を持っています。攻撃されている団体とかトラクトの中身に深刻な懸念を抱いている人々にとっては全く洒落にならない話なのです。Catholic Answersというカトリックのサイトではチック・トラクト問題が取り上げられており、「チック・トラクトに答える」というページの冒頭にはこのように書かれていました。

ジャック・チックのトラクトや漫画は笑い飛ばしたくなります。その毒々しい物語や誇大妄想的陰謀論がまともに取り合うことを難しくしているのです。しかし何百万もの人々がこれらをとても真剣に受け取っています。それが、チックが5億冊以上のトラクトを配布できた理由です。

非常に長いページでまだ全然読んでいませんが、5億冊はすごいな。しかもこの奇抜に見える世界観は「何百万」単位の人々にとってまともに取り合うべきものだというのだから、笑えません。

一方ネット上には、批判側でも賛同側でもない、それでいてチック・トラクトが大好きな人たちを見つけることもできるのであります。レヴューやパロディ漫画があり、さながらチック・トラクトとその奇妙な文化圏という感じ。いい悪いは別として影響力のある人なのかなと思わせるのです。
パロディ漫画としてはたとえばこんなのが。キリストの話は旧支配者の到来を告げる台詞に置き換えられ、聖書のかわりにH.P.ラヴクラフトの小説が引用されています。まあ、色んなもの入れてみたくなる気持ちはわかりますね。

ああ、長い!…続きます。

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| いろいろ | 20:58 | comments(0) | trackbacks(0) | TOP↑

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