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メンテナンス(3)異常ナシ

都心にそびえ立つ小洒落たオフィスビルに着いた私は、潤沢にガラスを用いた部厚い自動ドアをくぐったのであります。その上階に入居するクリニックもビルにふさわしく小洒落た内装で、医院臭をできうる限り消した風な、つまりいかにも保険効かなさそうな雰囲気がムンムン。いや大丈夫。保険が効くから来たのです。

通された待合室は壁の一面がガラス張りになっており、明るく開放的な雰囲気であります。けれどその窓から見えるのは建設中のビルと鉄道の駅ばかりで、空気中に漂うかすかな緊張感はやっぱり医院独特のものです。

名を呼ばれて第一の部屋に入ると、打って変わって薄暗い。がらんとした部屋の中央には無骨で鈍重な機械が据えられており、まだ少女のような面差しをした白衣の人物が苦心して私を装置に取り付けるのであります。医療検査とは、ありえざるシチエーションの連続です。私はデ・キリコの描くマネキンのような憂愁に満ちたポーズとなり、なす術も無くX線を照射されるのでした。

第二の部屋はより狭くてさらに暗く、白く鋭い光を吐くディスプレイの前にさっきとは別の女性がいました。彼女は蛇遣いのように太いコードを首にかけ、その頭についた小さな装置を私に当てるのであります。静かだったディスプレイには荒天のようなものが写り、女性は時折手を止めて画面上の奇妙なものを測っています。何だかシュールレアルで、深層意識が紡ぎ出した謎の回廊に紛れ込んだかの気分。ここにある記号を読み解かない限り、元の世界に戻っても同じことの繰り返しなのです。

最後の部屋に来ました。
そこではいっそう闇が深く、まるで洞窟のようです。一番奥の壁は書棚になっていて、知識と合理的な判断力の象徴が一面に並べられています。目の前には老賢者が座り、光を発する台の上に非日常的な視点から見た私の姿を掛けています。ひとつは雲がかかったように白っぽい曖昧な姿であり、もうひとつは黒々とした荒天の光景なのです。なるほど、視点が違えば見えるものはこうも違う。実体の最たるものにおいてさえも。

けれど蛍光灯が点くと全ての神秘は消え、白々しい光が全てを凡庸な物事に変えてしまいました。我々は医師と患者に戻って、そっけない会話でありきたりな結果を確認しあい、それで終わりです。医師が署名して寄越した紙には「精密検査の必要を認めません。ご安心ください」と書いてありました。

| いろいろ | 23:57 | comments(2) | trackbacks(0) | TOP↑

COMMENT

何事もなくよかったです
ごぶさたです。
何はともあれ、異常もなく、喜ばしいことです。
時々のメンテナンスは必要と思われますよ。

携帯電話なども手に入れたと知りました。

がんがってください(何を。。)

| ちゃる | 2006/10/16 09:04 | URL | ≫ EDIT

ありがとうございます
どうもご無沙汰しております。
いろいろがんばってます(何を…)。

おっしゃるとおり、時折のメンテナンスは大事ですね。
それにしても結果が出るまでがちょっと緊張です。
たとえOKでも楽器のメンテと一緒で、明日は不具合が発生するかもしれないし…なんて考えを回しすぎちゃうとそれはそれで、なのですけれど。

| ペり公 | 2006/10/17 01:05 | URL | ≫ EDIT















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