虻のホバー 蝉の亡骸
虻が宙に浮く春の日。近所で蝉が死んでいるのであります。
間違った季節に蝉が出てくるということはあるんでしょうか?
何かが変だと告げるのは本能ばかりで、それを黙殺するのも本能であり、プログラムの裏で悲鳴を上げるかすかな洞察さえも彼らにはないのでありましょうか。樹液の味はよろこびを与えず、何も起こらないことに希望とも絶望とも名を付けないのでしょうか。
そうだとして何になりましょうや。
今やすべては過去になり、残るのは解体を待つ実在だけなのであります。
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