木陰
公園の中を歩いていると、とても美しい場所が向こうに見えた。
広々とした芝生の一角に針葉樹を含む樹々が植えられており、瑞々しい葉をつけた枝が地面近くまで垂れ下がって、程よい明るさを持つ木陰ができているのだった。
そこに入ってみたいと思って足を向けると、樹林の入り口にある枝にベロンとカラスが止まった。カラスは明確にこちらを見ており、ボリュームを抑えたしわがれ声で3べん鳴いた。
そして落ち着かなげにモソモソしている。
私の中にとても小さな、しかし赤い色をした「!」が点灯した。
だがなぜか私はそれを無視して、カラスの横を通ると奥へ入ってしまった。
木漏れ日の下をゆっくりと歩いて景色をながめたが、長居できないような気がする。
振り返るとカラスは同じ枝の上から私を見ていた。
もう一度そいつの脇を通らないといけないのだ。
背後で、私の歩みに合わせて移動する翼の音が聞こえた。
元の道に戻ってみると看板が出ていた。
「この辺ではカラスに襲われる事があります」
そこに添えられたカラスのイラストは、何者かによって頭の部分が焼かれていた。絵の下にはカラスの巣を見つめたりしないようにといった注意書きが並べてある。
顔を上げてみると、先のカラスは何処にもいなかった。
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