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Anvilさんたち

「アンヴィル! 〜夢を諦めきれない男たち〜」というドキメンタリー映画を見てきました。 なんだか、痛いタイトルでありますよ。

Anvilというのはカナダにいるヘヴィメタルバンドの名前なんです。知らなくてもしょうがない。売れてないのです。40歳前後のかつてのメタル好きはその名を思い出すかもしれないし、今ネット経由で情報を集めている現役のメタルマニアも「見た名前だ」と思うかもしれません。そんな有名じゃない彼らが取材対象となったのは、監督のサーシャ・ガバシに昔、彼らのローディとしてツアーに同行したという縁があったため。バンドが今も存続していることを知って連絡を取ったのがドキメンタリーのなれそめなのだとか。

映画は、昭和末期に日本で行われたハードロック系イベント「スーパーロック84(えいてぃふぉー)」の場面から始まります。「84」だから、25年前ですねえ。当時としてはかなりヘヴィで荒々しいメタルをやっていて、カッコよかったAnvilさん。大観衆の前で演奏するAnvilさんの姿と、彼らにリスペクトを捧げる有名ミュージシャンたちの証言が華々しく交錯したあと「ここに出演したものたちは皆ビッグになった。たった1つを除いては…」とすっかり商業的成功から取り残されてしまったAnvilさんの現在に移動します。

バンドは今や結成30年。竹馬の友であるシンガー兼ギタリストのリップスと、ドラマーのロブは50代になってしまいました。妻と子供と家のローンがあり、ロブは建築現場で、リップスは給食の配達員として働いている。ハゲのベースはホームレス。片言の英語しか話さない女マネジャーは、愛はあるけど、仕事はポンコツ。いい人ばかり出てくる。地元でライヴを行えば昔からのファンが来てくれるのだけど、より大きな「夢」、商業的成功のことや「ロックスターになるんだ」といった願望が去来するとき彼らは不幸になるのであります。

より大規模な活動の場を求める彼らですが、「ここ20年で一番ビッグな」欧州ツアーはポンコツマネジメントのおかげなのかトラブルの連続となり、せっかく名プロデューサーとレコーディングした作品は買い手がつかず。見放しきれないといった風情の家族に支えられつつも、竹馬の友たちは絆を確認し合ったかと思えば激しく衝突し、また仲直り。山あり谷あり、しかしカタルシスもカタストロフィもなく、不安定な日常生活の繰り返しがあるばかりなのです。

こういうのを笑えて泣ける感動作と言うしかない都合もあろうし、赤の他人によるおもしろダメ人生と思ってもいいだろうけど、私はいくぶん動揺しました。「では、私は何をしているのだろうか?」と考えざるを得ないのであります。「人はどんどん老いていく。だから、今やるんだ」とリップスは言います。奇妙な人生ですが、彼らは自分たちがやりたいことを知っていて、それを坦々とやり続けている。それで少しも、映画を劇的に感じないのであります。

前の職場にいたとき、Anvilさんに似た人々をたくさん見ました。40代、50代、還暦を超えて音楽に熱中し、売れたらいいねぇと言ったりして、謎の仕事をせっせとやりながら生き抜く人々なのです。よろしい、それは普通の人生だ。それで私はどうなのか。私はどこへ行くのか、何をするのか、毎日何をしているのか?そしてリップスが口にする不思議な牽引力の源が、わずかにその巨大な輝きの片鱗を見せたような気がするのであります。

ラストシーン、再び日本のロックフェスに出演したAnvilは大観衆に迎えられます。25年前の映像がフラッシュバックのようにカットインし、私は学校の視聴覚教室に友人たちと潜り込んで「スーパーロック84」のダビング映像を見た日のことを思い出しました。帰り際、名プロデューサーとレコーディングしたはいいがあらゆるレコード会社からけんつくを喰わされたその最新作が出口で売られているので、1枚買ってみました。聴いてみると普遍的なヘヴィネス、カッコいいリフがある。曲調は古いかも。3曲目で「これは売れない!」と確信した私は再生を停止しました。そしてこれを書いている次第です。書き終わったらまた聴きます。

| いろいろ | 00:29 | comments(2) | trackbacks(0) | TOP↑

COMMENT

アンヴィルは良いよ、必見だよという噂は私の周りからも強く聞こえて来ます。

私は音楽をやっているわけでは無いのですが、我が身を振り返るに、そんなもん見たら暫く落ち込んで立ち直れなくなる挙句、全力で泣き寝入る日々が続いてしまうであろう事は自明ですので、ちょっと観るのを躊躇ってます。

| roji | 2009/11/24 12:21 | URL | ≫ EDIT

>rojiさん
いやー、rojiさんだったらフツウに観ると思いますよ。
特殊なのは登場する人々のキャラの立ち具合ぐらいなもので、ストーリーはフツウの我々が毎日体験するような普遍的内容と思います。
泣きとか感動とかいうしゃらくさいものに丸め込まれる心配も無用です。フツウに良い人生なんですもの。

泣き寝入るか入らないかの境目は「やってるのか、やらないのか」の違いかもしれないんですが、rojiさんはやってると思うので無問題なのです。

| ぺり公 | 2009/11/24 23:06 | URL | ≫ EDIT















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